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この出会いは…
第9章 彼の家族
『年越しは一緒にしたいな。』

そう言われて、嫌だとは思わなかったし、恥ずかしかったけれど、断る理由にはならなかった。
つまり、お泊まりを了承してしまったわけで。
今、私は小さなキャリーバッグを片手に電車に乗っている。
一駅区間だけ乗って、電車を降り、改札口に向かうと、迎えに来てくれていた一ノ瀬さんと目が合った。

「おはよう。」

一ノ瀬さんは、改札を通った私に爽やかに挨拶をして、キャリーを持ってくれた。

「おはようございます。」

当たり前のように手を差し出されて、その手を握って歩き出した。
すぐに着いたマンションのオートロックを抜けて、エレベーターに乗り、15階に着く。
『どうぞ。』とドアを開けてくれたが、前回とは緊張の度合いが全く違う。
泊まる前提でお邪魔するのって、こんなに恥ずかしいものなの!?

「知花ちゃん?」

「えっ、あ、お邪魔します。」

我に返って、慌てて靴を脱ぐ様子をクスクスと笑われた。
ばっ、バレた、かな?
変なこと考えてたの、バレたかな?
顔が熱くなるのが分かった。

「ふふっ、今日もいい反応。」

一ノ瀬さんはそう言って、私の頭を一度ポンッと軽く叩いて、リビングに歩いていった。
…今日も初っぱなから、からかわれた。

お家にお邪魔したのが午前10時過ぎ。
午前中はコーヒーを飲みながら、TVの年末特番を見たり、話したりしながら過ごした。
一ノ瀬さんが昨日、買い物に行っておいてくれたらしく、お昼ごはんは冷蔵庫にあった食材で、サラダとオムライスとスープを作って食べた。
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