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この出会いは…
第9章 彼の家族
午後からはクリスマスの続きで映画を見ていた。
映画がクライマックスを迎えた頃、思ってもいなかった事態が起きた。

ピンポーン

いきなりチャイムが鳴って、映画の世界から現実に引き戻された。
一ノ瀬さんがインターフォンを確認しに行って、驚きの声をあげて固まった。

「最悪だ…」

「えっ?えっと…どうかしました?」

「いや…はぁ、兄貴が来た。」

えぇっ!?
お、お兄さんがっ…来た、の!?

「わっ、私、帰りましょうかっ?」

「いや、いいよ。追い返すから。知花ちゃんはここで待ってて?」

カチッとオートロックを開けるボタンを押して、一ノ瀬さんはため息を着きながら、リビングを出て行った。
数分後、またチャイムが鳴って、ドアを開く音がしたと思った瞬間、小さな女の子の声がした。

「たぁーくーんっ!」

「えっ…!みんなで来たのか?」

「そ。家族で買い出しを押し付けられたんだよ。だから、どうせならと思ってお前を迎えに来てやったんだよ。」

「はぁっ!?ちょっと待て。」

えぇー!!
ばっちり聞こえたけれど、えぇーーー!!!
どうしよう!?私、どうしよう!?

「早く支度しろって。」

「ちょっ、待て。入るなっ。」

「なんだよ、入…あっ!靴!!誰かいんの?女か?」

ひゃー…
バレた。さっそくバレた。
上がって来たらどうしよう。
挨拶しなきゃっ。
どっ、どうしよう!!

「たぁーくん、おしっこ。」

「…最悪だ。いいよ、上がって。」
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