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この出会いは…
第9章 彼の家族
余りに急展開すぎて、頭がくらくらする。
心臓も正常に戻ってくれない。
お兄さんの思惑通りに事が進んで、今はお兄さんの車の中…。

「ホントにごめんね。」

ため息と共に一ノ瀬さんが謝って来た。

「いえっ、あの…だっ、大丈夫です…」

全然大丈夫じゃないけれどっ。

お兄さんの車はミニバンタイプで、お兄さん家族4人、もちろんチャイルドシートが2つ付いていても、私たちは余裕で乗れてしまった。
運転はお兄さん。
助手席に柚ちゃん、運転席後ろに翔くん、その隣に翠さん。
私たちは3列目のシートに座っている。

「緊張してる?…いや、するよね。はぁ、ホントごめん。」

「謝らないで下さい。きっ、緊張しますけど…大丈夫です。」

車内は柚ちゃんのためか、Eテレの子ども向け番組のDVDが流されていて、時折柚ちゃんがDVDに合わせて歌を歌う。
微笑ましいはずの光景も緊張からか全く気が休まらない。

仕方がないよね?
突然だもん。
突然、彼のご実家に行きましょうって。
しかも、泊まりって。
挨拶とかどうしようっ!
ノープランだし、手土産とかも…

「あっ…!わっ、私、手ぶら…でした…」

どっ、どうしよう!!

「いいよ、そんなの。事前通告なしの強制連行だからね。俺が説明するから、気にしないで。」

「あっはっはっ、ひどいなっ。手土産なんて要らないよ。まぁ、どうしても気になるなら、今からスーパー寄るから。なんかあるでしょ!」

一ノ瀬さんもお兄さんも笑いながらそう言ってくれたけど、そこはやっぱり気になりますっ!
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