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この出会いは…
第9章 彼の家族
「知花ちゃーん。晩ごはんは簡単にすき焼き風のお鍋のつもりだったの。みんなで鍋だけど、いいかしら?」

お母さんがキッチンの中から私を呼んでいる。
振り返ると晩ごはんの準備を始める様子だ。

「えっ、あ、はいっ!ありがとうございます。私、何かお手伝い出来ますか?」

「いいのよう。座ってて?翠ちゃんも手伝ってくれるし、知花ちゃんはお客さんだから。」

「あ、じゃあ、翔が泣いたらよろしくね?」

お母さんにも翠さんにも笑ってそう言われてしまって、納得していいのか分からなくて困ってしまった。
一ノ瀬さんもいいと言ってくれたし、柚ちゃんが遊んでと言って来たので、お言葉に甘えてしまった。

「知花ちゃん、代わって。限界。」

遥さんが翔くんを抱いてやって来た。
抱っこするって事?

「大丈夫、首座ってるから。抱っこしてないと泣くんだけど、私、トイレ。」

私が抱っこして、逆に泣かない?大丈夫?
そんな事を聞く間もなく、翔くんを渡されて、恐る恐る抱っこをした。
翔くんはふにゃふにゃして柔らかくて、小さくて、可愛かった。
泣くどころか笑ってくれて、余計に可愛かった。

「かわいい…」

柚ちゃんも翔くんも人見知りしなくてお利口だな。
翔くんと笑い合いながら、軽く高い高いしてみたり、こちょこちょしてみたり、スキンシップをとっていると、翠さんが話し掛けて来た。

「知花ちゃん、あやし方が上手ね?翔は人見知りするのよー?知花ちゃんを気に入っちゃったわね。」
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