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この出会いは…
第9章 彼の家族
固まったままでいる私の後ろで一ノ瀬さんの身体が揺れ始める。

「ふふっ、知花ちゃん…落ち着いて?」

この笑い方と楽しそうな話し方は、絶対にからかわれているっ!

「いっ、一ノ瀬さんがっ、こういう事、すっ、するからですっ!……もう、寝ますっ!」

一ノ瀬さんの足の間から抜け出して、ベッドに勢いよく横になって目を閉じる。
これでは、完全にふて寝になってしまう。

「おやすみなさいっ!」

一ノ瀬さんに背を向けて、"もう知らない"という意思表示をした。
後ろから笑い声がして、頭を撫でられた。

「知花ちゃん、モテモテだったね。今日、みんなから。」

私の髪の毛を指で鋤くように撫でられて、ビクッと肩をすくめて身体が反応する。

「自分の家族と知花ちゃんが仲良くしてるのが不思議な感覚だった。」

「あの…私、ちゃんと…出来てました?」

ほとんど受け身で何も出来ていなかったような気がしてならない。

「ふふっ、俺は嬉しかったし、少し…鼻が高かった。」

ほっ、ホントに?
思い返すと至らなかった点ばかり浮かんでくる。
話しながらまだ頭に置かれている私の髪を鋤く手は、時々耳に当たってくすぐったい。
その小さな身体の反応もクスクスと笑っている。

「耳触るの、くすぐったい?」

「…ゃ、ぁんっ」

……っ!
今度は確実に耳を触られて、予期せぬ声が漏れてしまった。
一瞬、ピンとする空気。
やっ、やだっ!どうしよう!!
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