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この出会いは…
第9章 彼の家族
祐side↓

「……知花ちゃん。こっち向いて?」

顔を枕に埋めて隠しながら、首を横に振る知花ちゃん。
なにその反応。
なにさっきの声。
狙ってやっていない事は百も承知だけど、腹の奥がゾワゾワした。

ここが実家でよかった…

髪に触れていた手を頬に滑らすと、また分かりやすくビクッと縮こまる。
愛おしさで満たされる心と腹の奥から沸き上がってくる欲望。

「じゃあ、もう寝よっか?」

そう言って知花ちゃんの隣に横になると、とたんに知花ちゃんが焦り出す。
モゾモゾと布団に潜ると、身体が触れる。

「えっと、あの…」

「だって、背中向けちゃうんだもん。もう話しはしないんでしょ?」

あくまでも余裕ぶって、笑いながら意地悪な事を言ってみる。
知花ちゃんの隣で立て肘をつきながら、反応を見守った。

「ちゃ…んと、聞きます、から…」

消え入りそうな声で答える知花ちゃんの小さな背中が微笑ましい。

「じゃあ、こっち向いて?」

「えっ…」

「俺、寂しいんだけど?」

ガッチガチに固まった身体が緊張の度合いを表している。
きっと、顔も真っ赤なんだろう。

「う…。じゃ…顔、見ちゃ、ダメ…ですよ?」

見たいに決まっている。
むしろ、顔が見たいからこっちを向いてと言っているのに。
分かっていないな、全く。
サラサラの髪に再び触れて振り向くのを待つ。
知花ちゃんがおずおずと固まったままの身体を動かして、顔を隠しながらこちらに向き直った。

祐side 終わり
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