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この出会いは…
第9章 彼の家族
「ごめん。怖がらせたり、不快な気分にさせたりしてたら…ごめん。」

「いえっ。だいじょ、ぶ…です。」

反らしていた顔を戻して、目を合わせて謝ってくれたので、逆に私が居たたまれない。
でも、どうして…?
どうして、何度も"ごめん"と言うの?
もしかして…
そこで、ハッとした。

もしかして、私のせい…?
私の過去の…せい?
がっ、我慢させているって事だよね?
相手が私じゃなかったら、今日も、この前も、一ノ瀬さんはどうしていたのかな…

あんなにテンパッていて熱かった身体が、一気に冷めていく。
ドキドキして落ち着かないけれど、どこか温かくて幸せな気持ちだったのに。
悔しくて、やるせない、憂鬱な気持ちに支配されてしまった。
そんな自分にまた嫌気がさして、泣いてしまいそうになる。

「知花ちゃん!?ごめんっ、怖かった?」

涙が滲んできた私に気が付いて、一ノ瀬さんが慌てて、私の目尻を拭う。

「違っ…いますっ!怖くなんかないですっ!ただっ、私が…」

結局涙は溢れてしまった。
両手で顔を覆い、涙を隠す。

「ごめっ、なさ…ぃ…」

「どうして、知花ちゃんが謝るの?」

「私の、せいで…気を、遣わせているんですよね?」

「…どういう事?」

顔を隠していた両手を剥がされて、視線がぶつかる。
でも、堪えられずにすぐ顔を俯かせた。

「私の過去が…一ノ瀬さんまで縛っているという事に、今更ながら気が付きました。」
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