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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
「琴莉、体調は…もういいの?」

ドアを閉めて、一ノ瀬さんがリビングへ歩いていくのを確認して、小さな声で琴莉に聞いた。
実は、滝本さんがまだ出張中の1月下旬に、琴莉は体調を崩していた。
会社を早退して、翌日も休んでいて、詳しく聞いたら入院していた。

「あのっ、入院の事、私と美怜以外に知ってる?滝本さんは?」

「知らないよ!?まぁ、心配かけたくないし、今はもう元気だし。」

「でも、琴莉…」

「その話は今日しないで?お願い。」

じっと私の目を見つめてくる琴莉。
ため息をつきながら頷いた。
靴を脱いで、滝本さんのお家にお邪魔して、リビングへと進む。
すでに美怜がキッチンで準備をしてくれていて、星さんは遅れて合流するらしく、まだ姿はなかった。

「あ、知花ちゃん。いらっしゃい!」

「お邪魔します。滝本さん、お疲れ様でした。あと、お帰りなさい。」

「滝本。これ、俺と知花ちゃんから、差し入れ。」

「さんきゅ、悪いね。」

滝本さんのお家に来る前にデパートに寄って、お酒やジュースなどの飲み物とケーキを買ってきた。

「美怜、遅くなってごめんね!琴莉も。二人とも買い出しありがとう。」

キッチンに足を踏み入れて、美怜と琴莉にお礼を言う。
今日はたこ焼きパーティーだから、美怜が食材を細かく切り揃えてくれてあった。
作業台にはいくつかお惣菜のパックも。
ホントに気が利くな。
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