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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
「こんなにちゃんとしたものをもらえるとは思ってなかったから…さっきはごめんね。」
「いえっ、私も渡すタイミングが分からなくて…」
目の前のカップが空になっている。
もう、それで十分だ。
「きっ、緊張しまし…た…」
はぁ…
一つ息を吐いて、テーブルに突っ伏して顔を隠す。
高校生の時に一度、お友達同士で作り合って、ついでにクラスの男子が食べるというドキドキとは無縁のバレンタインだったら経験があるんだけれど…
まぁ、そんなものは無いに等しいし。
「お菓子作りも得意なの?」
一ノ瀬さんの問いに顔を上げる。
「得意って程では…レシピを見ないと作れません。」
「でも、美味しかったよ?」
「はぁ、良かったです。甘くならないようにお砂糖とかココアパウダーとか分量通りにしなかったので…ドキドキしてました。」
「うん、ありがとう。バレンタインデーを迎えながら食べれるなんてね。タイミングばっちりだね。」
一ノ瀬さんが指差した先にある時計は日付が変わって、0時を少し過ぎたことを示していた。
『ごちそうさま』と言って席を立った一ノ瀬さんに続いてキッチンに入る。
一緒に片付けをして、一緒に歯を磨いて、寝る準備をして、一緒に寝室に行く。
パタン…
やっぱり寝室に二人きりになると緊張するし、沈黙が気になってしまう。
「明日は何しようか?どこか行く?」
ベッドに入りながら一ノ瀬さんが聞いてきた。
そして、ドア付近でソワソワしている私に気付いて笑う。
「ふふっ、こっちおいで?」
「いえっ、私も渡すタイミングが分からなくて…」
目の前のカップが空になっている。
もう、それで十分だ。
「きっ、緊張しまし…た…」
はぁ…
一つ息を吐いて、テーブルに突っ伏して顔を隠す。
高校生の時に一度、お友達同士で作り合って、ついでにクラスの男子が食べるというドキドキとは無縁のバレンタインだったら経験があるんだけれど…
まぁ、そんなものは無いに等しいし。
「お菓子作りも得意なの?」
一ノ瀬さんの問いに顔を上げる。
「得意って程では…レシピを見ないと作れません。」
「でも、美味しかったよ?」
「はぁ、良かったです。甘くならないようにお砂糖とかココアパウダーとか分量通りにしなかったので…ドキドキしてました。」
「うん、ありがとう。バレンタインデーを迎えながら食べれるなんてね。タイミングばっちりだね。」
一ノ瀬さんが指差した先にある時計は日付が変わって、0時を少し過ぎたことを示していた。
『ごちそうさま』と言って席を立った一ノ瀬さんに続いてキッチンに入る。
一緒に片付けをして、一緒に歯を磨いて、寝る準備をして、一緒に寝室に行く。
パタン…
やっぱり寝室に二人きりになると緊張するし、沈黙が気になってしまう。
「明日は何しようか?どこか行く?」
ベッドに入りながら一ノ瀬さんが聞いてきた。
そして、ドア付近でソワソワしている私に気付いて笑う。
「ふふっ、こっちおいで?」