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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
躊躇いがちにベッドに近付いた私の手を握って、布団をめくって誘導する。
向かいあって寝転んで、腕枕をしてくれている。
付き合っていれば、これが普通なのかな…
頭、重くないのかな?
首に力が入ってしまって絶対に眠れない。

「どこか行きたいところある?」

再び繰り返された問いに我に返る。

「どっ、こでも…。一緒にゆっくり出来るなら、どこでも…いいですよ?」

「ふふっ、そう言うと思った。じゃあ、日帰りでゆっくり出来るところだと…水族館、かな?」

「はいっ!水族館!!嬉しいっ!行きたいです!」

水族館なんて社会人になってからは行ったこともなかったな。
落ち着くし、ゆっくりできるし、最適かも。
一ノ瀬さんの提案に嬉しくなって、思わず身体を寄せた。

「イルカショー、見てもいい…ですか?」

顔を上げて、一ノ瀬さんを見るとクスクス笑っている。

「あはは、予想以上の反応。ふふっ…」

あ、これは…からかわれてます?
少し睨んで一ノ瀬さんを伺う。

「イルカショー、楽しみだね。」

私の顔を見て笑って、ぎゅっと抱き締められた。
一ノ瀬さんの腕の中に収まって、お互いに何も話さなくなった。

気まずいぃ…

「一ノ瀬さん…」

「ん?」

「もう、寝ます?」

「…そうだね。」

「じゃ、ぁ……おやすみの…キス、しますか?」

一ノ瀬さんの身体がピクッと動いた。

「あっ、えぇ…と、………何でも、ないですっ!おやすみなさい!」

な、何聞いてるの、私っ!
沈黙が気まずいからって、バカバカバカ!!!
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