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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
「突き飛ばしてもいいよ?」

そう優しく微笑んで、頬に触れてきた手に、自分の手を添えた。

「そんな事…しない、です…」

突き飛ばす…なんて、できない。
絶対にしない。
知らない感覚は少し怖いけれど、それ以上に触れられていると心が満たされる。

「ホントに嫌なら…とっ、とっくに突き飛ばしてますっ!」

一ノ瀬さんは、私の言葉に少し驚いた様な顔をして、それからクスクスと笑った。

「そういうところ、たまらないな。」

頭を撫でながらそう言う顔は笑みが引いて、"男の人"の顔をしていた。
その顔から視線が外せなくなって、近付いてきて、たくさんのキスが降ってきた。

気持ちいい…

無意識に頭の中に浮かんだその感覚に自分で驚く。
口の中が一ノ瀬さんでいっぱいで、絡まる舌や唾液で呼吸が苦しいのに、ふわふわする。
このふわふわは"気持ちいい"んだ。

そんな事を考えていたら、一ノ瀬さんの手がズボンにかかって、ハッとした。
瞬時に身体が硬直したけれど、キスは続けられていて頭がふわふわする。
キスに集中してしまうと身体の力が抜ける。
深く絡められていた舌が離れたと思ったら、再び耳を舐められた。

「えっ…やぁっ、待っ…て…」

いきなりの耳への刺激に身体をよじらせると、その動きを利用して、ズボンが脱がされた。

えっ!えっ!!えぇーーっ!!??

いとも簡単にズボンを脱がされて、ショーツ一枚になってしまった。
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