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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
「私、一ノ瀬さんに触られる事は怖くないですから。さっ、さっきも…怖いなんて全く思いませんでした。」

「…ホントに?」

「はい。あの…ビックリは…しました、けど。」

「そっか…。良かった。」

一ノ瀬さんの息が、私の首筋をくすぐる。
そのまま首筋にいくつものキスをしながら下に降りてきて、鎖骨に顔を埋めた。

「ホントにこれ以上、続けてもいいの?……止められるか…分かんないよ?」

「止めなくて…いい、です…」

そう言って、一ノ瀬さんの頭をぎゅっと抱き締めた。
私を見上げた一ノ瀬さんの頬に触れて、お互いを見つめる。
見つめられると…おかしい。
さっきから胸がドキドキする度に、苦しくなる。
ぎゅっと締め付けられて、痛いくらいに。

どうしよ…ぅ……
変だ…

片手で胸を押さえるようにして、身体を少し丸めた。

「…どうしたの?」

一ノ瀬さんが私の両肩に触れて、首を傾げた。

「あの…少し怖くて……」

「……っ!?」

思わず呟いてしまった"怖くて"という言葉に、一ノ瀬さんの表情が強張った。

あ、違うの!
そうじゃなくてっ…

「違います!一ノ瀬さんがとか、この状況がとかじゃなくて…!」

身体を離そうとした一ノ瀬さんの腕を掴んで、慌ててそう伝えた。
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