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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
「身体中が心臓になったみたいにドキドキしてっ…胸が、かっ、身体中がサワサワして…」

「…うん。」

「ずっと…苦しい、ん、です。こんな、の…初めて、で…」

そう言って一ノ瀬さんを見つめ直すと、ぎゅっと抱き締められた。

「…だから、"少し怖い"?」

頭の上から降ってくる質問に頷いた。

「苦しくて、ドキドキして…でも、止めて欲しくもなくて…どうしたらいいのかっ、分からなくなっ、ちゃって…」

「…それってさ、俺に…欲情してるって事?」

えっ…!?
えええぇぇーーー!?
再び降ってきた質問にパニックになった。
目が合って、反らすことも出来ずに固まった。

「"こういう感情になるのは初めてだからよく分からない"?」

三つ目の質問に何とか首だけ動かして頷く。
頷いた私を見て、クスッと笑う。

「俺は…知花ちゃんが好きで好きで堪らなくて、抱き締めたり、キスしたりするだけじゃ足りなくて、胸が苦しくて、切なくて、身体が熱くなってどうしようもないから、今こうしてるんだけど。」

え…?
一ノ瀬さんも私と同じ気持ち、なの…?

「年末に、俺の実家で一緒に寝た時も。俺は知花ちゃんに欲情してた。」

欲情したって…!!

「よっ、よくじょ…って…わっ、私、も…?」

ど、どうしようっ。
猛烈に恥ずかしくなって、両手で顔を覆って身体をよじろうとした。
でも、その前にきつく抱き締められて、身体をよじることを許されなかった。
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