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この出会いは…
第10章 乗り越えたいモノ
目の前にある一ノ瀬さんの胸元に顔を埋めた。

「やっ、さしくして、頂いた…ので…、怖くなかった、です…」

トラウマがなくなったんです。
それは一ノ瀬さんのお陰だから。
お願い、謝らないで。

「痛くて、怖い思いは…一度もしなかった、ですし…」

一ノ瀬さんの背中に手を回してぎゅっと抱きつく。
すると、一ノ瀬さんも抱き締め返してくれた。

「ずっと、ふわふわして、温かくて…、しっ、幸せでした。」

「知花ちゃん…」

「ただ、今までに、経験…した、ことがない感覚が…衝撃すぎ、て…ビックリして…パニックになって…」

「うん。」

「あのっ、私、結構、暴れ…ました、よね?……あと、寝るっ、とか…」

「うん。」

「ごっ、めんな…さ」

謝る前に強く腕の中に閉じ込められた。

「はぁ、良かった…」

深いため息を繰り返す一ノ瀬さん。

「また、暴走して、怖がらせたかもって…意識なくした知花ちゃんを見て、反省してた。」

いっ、意識、なくしてた…
改めて言われると、顔から火が出そうだ。

「わっ、私、そんなっ、寝て…ました…?」

「いや、10分くらい…かな?」

10分!!!
その間、一ノ瀬さんはどうしていたんだろう。
ずっと見てたの!?
それって、ものすごく恥ずかしい!!!

一ノ瀬さんの腕の中で身体をひねって向きを変えた。
向かい合っているなんて心臓が持たない。
パニックになりかけた時、サイドテーブルに置かれた包みが視界に入った。
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