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この出会いは…
第12章 誕生日
恋愛自体を避けていたし、男の人と話すのなんて疲れるだけだった。

あぁ、私はやっとみんなと同じ幸せを手に入れる事が出来たんだ。
そういう事を恐怖や憎悪の対象にするんじゃなくて、恋愛の中の幸せな事の一つにする事が出来た。

そういう事が"幸せ"とか"気持ちいい"とか…
初めて共感出来た。

――――…っ!
ハッと我に帰って恥ずかしくなる。
私、何を考えているのっ。
胸がドキドキしている。

私―――…
一ノ瀬さんとした事を思い出してドキドキしているの?

身体が変だ。
ソワソワして落ち着かない。
顔が熱い。
違う、顔だけじゃない。
身体が熱い。
胸が苦しい…

確実に変わってしまった身体に頭が追い付かない。

それでも、"エッチが出来た"という事実は私を大きくした。
身体が拒絶しなかった。
パニックにならなかった。
過呼吸にもならなかった。

あ、パニックにはなりかけたっけ…
でも、一ノ瀬さんが抱き締めてくれて、微笑んでくれて、スッと不安が消えていって…
恐怖に支配される事がなかった。

嬉しくて、幸せで、もっともっとぎゅってして欲しいと思った。

美怜や琴莉に『バレンタインデーはどうだった?』と聞かれたら、そう答えると思う。
不安も恐怖も一ノ瀬さんに全部包み込まれて、意図も簡単に取り去らわれてしまった。

こんなにも、簡単に物事の捉え方って変えられるんだと思った。
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