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この出会いは…
第12章 誕生日
「ははは、驚いた?車で行きたかったから、昨日実家に帰ったんだ。」

「はぁ…。あの…ホントにわざわざありがとうございました。」

車持っていたんだ。
知らなかった。
あ、っていうか…

「車じゃなきゃ行けない所なんですか?」

「うーん、行けないわけじゃないけど、一泊だと荷物も多いしね。楽でしょ?」

「はい、ありがとうございます。助かります。あの…行き先は聞いちゃダメですか?」

なんとなく落ち着かなくて、思いきって聞いてみた。
一ノ瀬さんはそんな私にニッと楽しそうに笑う。

「ふふっ、気になる?」

「なっ、なります!っていうか、この服装で良かったですか?」

昨日の夜、"歩きやすい格好のが良いかも"と連絡が来たので、スカートやパンプスをやめて、キュロット…というか、ショート丈のスカーチョにタイツを合わせて、靴はペタンコのサイドゴアブーツに変更した。

「うん。かわいい。」

「えっ、あ…ありがとうございます。」

「ははは、さっきから"ありがとう"しか言ってないね。いろいろ気にしすぎ。まぁ、そこが知花ちゃんの良いところだけど。」

「あ、…りがとうごっ……あっ。」

「あっはっはっ。ほらね。行き先が分からないと、そんなに落ち着かない?」

バレているし…

「だって…」

「面白いから、行き先はこのまま教えない。寝ててもいいよ?着いたら起こすから。」

面白いからって!
またからかい始めた!

「絶対寝ません。着く前にどこに行くか当てますからね!」

「あっはっはっ。ホントに面白いね。」

く、悔しい!!!
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