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この出会いは…
第12章 誕生日
「正解だけど、箱根で良かった?」

「はいっ!温泉行きたかったんです。箱根って美術館も多いし、ドキドキします!」

ホントに楽しみ。
今から携帯で箱根の観光スポットを検索したいくらい。

「あ、もう立ち寄る場所とかプランは決めてるんですか?」

「だいたいはね。でも、行き先はバレちゃったし、一緒に決めよ。行きたいところはある?」

一ノ瀬さんが考えてくれていたプランをいくつか話してくれて、その中から行きたいプランを選ばせてもらった。
宿泊予定の旅館もなかなかの老舗で、楽しみで仕方なくて、これはこれで落ち着かない。

「今度は楽しみ過ぎて、落ち着きませんね…」

「あはは、知花ちゃん、ホントに柚みたいだな。」

「あっ!もう…絶対言われるとは思ってましたけど…」

いつも子ども扱いするんだから。
まるで遠足前の子どもだとか思っているんだろうな。
プイッと顔を背けて、助手席側の車窓から見える景色を眺めた。

「まぁ、柚より全然かわいいけどね。」

「なっ…、ずっ、ずるい…で、す。」

「あはは、どうして?」

「だって、何て言っていいか…。それに、もう怒れません。」

「ふふっ、そういうところだよ。」

髪の毛をくしゃくしゃにされて、睨む私をまた笑って。
一ノ瀬さんは今日ずっと笑っている。
ずっとからかわれているのに、なぜか心地いい。
男の人と二人で車の中とか…
今までの私では考えられない状況だ。
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