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この出会いは…
第12章 誕生日
知花ちゃんの隣に歩み寄って、同じ様に腰を下ろす。
顔を覗き込んでも、俯いて固まったまま。

「何か…不安に思う事があるの?」

知花ちゃんの頭に触れて、軽く引き寄せた。
驚いて見上げてきた顔は真っ赤に染まっていた。

あれ…?
これは…恥ずかしくて固まっていた?
何か思い詰めていたわけではなかった様子にホッとして、固まる知花ちゃんに思わず顔が緩んだ。

「顔赤いよ?聞かれちゃマズかったの?」

敢えて明るく聞いてみると、赤い顔を更に赤くして、目が泳いでいる。

「ふふっ、聞いちゃダメ?」

顔を上げて、やっと目が合う。
耳まで真っ赤な顔に、今にも泣き出しそうな瞳。
ダメとは言えないけど、恥ずかしいんだろう。
目を合わせたものの、固まったまま視線を外せなくなって、焦り始めている。

「知花ちゃん、部屋に戻らない?」

質問を変えた俺に『あっ…』と呟いて、チラリと視線を部屋に向けた。

「もっ、戻り…ま、す……」

言葉とは反対に全く動かない。
恐らく、敷かれた布団に目がいって、部屋に戻るのにも躊躇しているんだろう。
あぁ、もう、ホントに…
先に立ち上がって、手を差しのべて、知花ちゃんを立たせる。
持って来ていたバスタオルで足を拭いて、風呂を後にした。

「明日は何しよっか?」

部屋に戻った後は、知花ちゃんが入れてくれたコーヒーを飲みながら、明日の予定を立てた。
知花ちゃんが不安に思っている事は気になるけれど、自分から打ち明けてくれるのを待とうと思った。

祐side 終わり
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