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第13章 かけがえのない人

「いつか飽きられて、離れて行ってしまったらどうしようって…不安になるんです…」

鼻がつんと痛くなって、胸がぎゅうっと締め付けられる。
見つめている祐さんの顔がぼやけてきた事を知られたくなくて、祐さんの胸元に顔を埋めた。

「いつか幻滅されてしまうんじゃないかって…怖くて…」

「知花ちゃん、あのね？それは…」

祐さんが私の顔を覗き見ようと身体を離そうとしたので、反射的にきつくしがみついた。

「だって私…！祐さんに甘えて、頼って、どんどん欲張りになるし、ワガママにもなってると思うし…」

ヒック…

思わずしゃくりあげてしまって、鼻をすする音も漏れてしまった。
そんな私の様子に、祐さんは背中を擦ったり、トントンしたりしてくれた。
泣いているのバレちゃった…

「そんな風に感じる事が、家族以外では初めてで…祐さんの存在が大きくなり過ぎて、いなくなったら…どうしようって…」

「うん…」

「私、いつからこんな弱くてダメな人間になったんだろうって、自分が情けなくって…いろいろ、こっ、怖くなり、まっ、した…」

こんな事でまた泣いて、上手く話せなくなる始末。
もう、ホントにこんな自分がイヤだ。

「ごめんなさい…」

「…知花ちゃん。」

相変わらず背中をトントンしてくれる手は温かい。
そのまま髪をすくように頭を撫でて、おでこに祐さんの唇が触れた。