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この出会いは…
第2章 いい兆し
「知り合いに会わずに会社までたどり着きたいわ…」

「さすがの美怜もお酒が抜けないと完璧を装えない、か。」

「笑い事じゃないし!元凶あんただし!」

"誰にも会いたくない"なんて願いはソッコーで脆くも崩れ去る。
電車を降りて、ホームを歩いているときに、一ノ瀬さんと星さんに出くわした。

「美怜ちゃんと知花ちゃん、おはよう!…あれ、琴莉ちゃんも。」

「同じ電車だったんだね。」

『おはようございます』と言いながら、会社の人に会わないようにと、出勤時間を早めた事を後悔する。

「琴莉ちゃんは珍しいね。っていうか、みんななんかあったの?いつもと雰囲気が違う…けど。」

星さん、鋭いな。
でも、知らない振りをして欲しいよ…

「やっ、やっぱり…わかっ、ります、よね?」

ほら、美怜が取り乱し始めた。
"分かりますか"って言っちゃってるし。

「いや、俺は分かんなかったけど、なんかあったの?」

「えっと、あの…」

一ノ瀬さんがたぶんフォローをしてくれたけど、美怜はその前に墓穴掘ってるからな…
"秘書室の完璧な中野さん"があたふたしてる。
思わず、私と琴莉が吹き出した。

「あのねぇ、知花はともかく、元凶の琴莉は笑う権利ないわよ!もう、泊めないからね!」

真っ赤な顔でそう言う美怜も可笑しくて仕方ない。
尚も笑いながら、琴莉が美怜に謝ってる。

「三人とも具合が悪そうな顔してたけど、元気ありそうだから大丈夫かな?」
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