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この出会いは…
第2章 いい兆し
「まぁ、でもお酒はほどほどにね?」

一ノ瀬さんがふわりと笑ってそう言った。

「はっ、はい。もちろんっ、今日はっお酒なしです!」

「ははは、その方がいいね。…さてと、俺は休憩がてら飲み物を買いに来ただけだから、もう戻らないと。」

「あっ、まだ残業中だったんですね!すみません、気付かずに…話を…」

よく見たらカバンとか持ってない!

「ホント、謝りすぎ。」

あ、まただ。
私ってなんでこういう時に"すみません"しか言えないのかな。
"すみません"一辺倒で気の利いたことを言えない女。

「そんな分かりやすく落ち込まなくても。」

え?
見上げると、一ノ瀬さんがまた優しく笑っている。

「相手の気持ちを一番に考えてるってことでしょ?それが知花ちゃんのいいところだと思うよ。」

あれ。あれれ。
顔が熱くて、心臓がうるさい。
そして、またここで気の利いた言葉が出てこない。
心なしか、一ノ瀬さんも顔が赤い?

「あっ、ありがとうございますっ。」

「ははは、うん。自信もって。」

だっ、ダメだ!これ以上は心臓が持たない!
なんかっ、なんか言わなきゃ…

「じゃ、いい加減入らせてもらうかっ…」

一ノ瀬さんはニヤッと笑って休憩室へ入っていく。

「おぅ!星、美怜ちゃんも、もう終わったのか?」

「一ノ瀬!いや、俺はまだ。コーヒーブレイク中。お前は?」

「俺も飲み物を買いに。あ、知花ちゃんも入ったら?」

一ノ瀬さんに促されて、休憩室を覗いた。
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