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この出会いは…
第2章 いい兆し
祐side⬇

また、テンパッて余計な事まで口走っていた。
そして、また謝っていた。
その様子を笑ったら、さらにテンパった。
頭に触れたらビクッとした。
『びっくりしてない』と言い張って怒った。

総ての事を一言で表すなら、やっぱり"かわいい"が適切な気がする。
いや、もう既に"かわいい"とは言ってしまったんだけど。
誰かの反応をいちいち気にとめたり、笑ったり、ずっと見ていたいと思ったりしたことがあっただろうか。
フフっと思わず、笑みがこぼれていたようだ。

「何、お前笑ってんの?」

隣の星が怪訝そうな顔をした。
指摘されて初めて笑っていたことに気付く。
そうだ、今はまだタクシーの中だった。

知花ちゃんを見送った後、タクシーに戻ると星はもう戻っていた。
『遅ぇよ』と文句を言って、ニヤリと笑われた。
その後は、特に話すこともなく、知花ちゃんとの会話を思い出していたら、無意識に笑っていたらしい。

「遅いと思ったら、さよならのちゅーでもしてたのか?」

「お前と一緒にすんな。」

「バカ、俺はちゃんと送り届けて、すぐに下りてきたわ。」

「あっそ。」

いやいや、もう少し話してやれよ。
事務的すぎると、逆に美怜ちゃんが可哀想だわ。

「それで、3階でどんな話してたの?」

出た!こいつのイヤな顔!!
すっげー腹黒いこの顔!!

「5階の会話と同じような感じ。」

「ふーん、あ、そう。」

「……なんだよ。」

「知花ちゃん、小動物みたいでかわいいもんな。なんつうか…、庇護欲を掻き立てられる的な?」

タクシーの窓の縁に肘をついて、星がこっちをニヤニヤ見ている。
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