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この出会いは…
第3章 私の過去
私に合わせて、ゆっくり歩いてくれているのが分かる。
なんで、この人は私の危機に何度も、しかも偶然に、居合わせるのだろう。

『ピンチを察知して助けるって、相手の事をよく見てなきゃ出来ないことだからね!』

美怜の言葉を思い出して、顔どころか頭が沸騰しそうに熱い。
一ノ瀬さんは私の事を気にかけてくれている?
救世主か…
ホントに助けられてばかり。

「……きゅっ、せ、…い、しゅ…」

「ん?なんか言った?」

小さな独り言に反応されて、慌てて首を横に振る。
『そう?』と言って、フワリと笑う。

「顔、真っ赤だけど?」

今度は少し意地悪な笑い方だ。
分かってはいたけれど、改めて指摘されると一ノ瀬さんの顔が見れない。
繋いだ手が視界に入って、手に力が入る。
『あのっ…』と言いかけた時にバッグの中の携帯が鳴った。

「琴莉…?」

一ノ瀬さんに断って、画面をスライドして電話に出た。

「も、しもし…?」

『知花!?家着いたの?今どこ!?』

「え?どこって?」

『家着いたら連絡してってLINEしたじゃん!美怜も連絡つかないって…』

「あ、嘘!?…ごめん、気が付かなくて。」

『で。今どこなの?家じゃないでしょ?どうしたの!?』

琴莉が早口で確認してくる。
なんて説明しよう…

「あのっ、大丈夫!心配かけてごめんね。今は、その…電車降りて、えっと…今…」

上手く説明することも、誤魔化すことも出来なくて、焦っていると、一ノ瀬さんに『貸して?』と小さく言われた。
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