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この出会いは…
第3章 私の過去
琴莉も美怜も一ノ瀬さんも…みんな優しい。
自分が不甲斐なさ過ぎて辛い。
こんなにも素敵な人たちに、私は迷惑をかけるだけで、何をしているんだろう…
私の身体はいつになったら、私の言うことを聞いてくれるようになるのか。
私の過去はいつまで私を追いかけて来て、いつまで私を苦しめるのか。
私はいつまで…"あの事を"…

あ、ヤバい。思い出してしまった。
一瞬で目の前が灰色になった。
痛くて、怖くて…
足元がグラついて、その場に崩れ落ちる。

「知花ちゃん!?」

美怜と電話で話していた一ノ瀬さんが、私に気付いて、私を支えた。
抱き止められるように、一ノ瀬さんの腕のなかに収まった。
目を閉じて、耳を塞いでも、"あの人"の顔がちらついて、あの時の怒号が耳鳴りのように聞こえてくる。

「やっ、だっ!おねがっ、ぃ…や、めて…」

やだやだやだ!!!
消えて!早く、消えて!!

「知花ちゃん?どうしたの!?」

「はぁっ、はぁ…、やめっ、て…」

いきなり取り乱した私は、きっと目の焦点すら合っていなくて、拒絶の言葉をブツブツ呟いている。

「知花ちゃん!落ち着いて!俺、分かる?大丈夫?」

強めに肩を揺さぶられて、我に返った。
一ノ瀬さんが私の両肩を掴んで、向かい合っている。
目の前の一ノ瀬さんが一瞬のうちに滲んで見えなくなる。

「いちの、せっ、さんっ…。…たっ、す、けて…」

思わず一ノ瀬さんのスーツの襟辺りを握りしめていた。
一ノ瀬さんは、私の言葉に少し驚いた顔をして、肩を掴んでいる手に力を入れた。
次の瞬間には、私はそのまま抱き締められていた。
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