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この出会いは…
第3章 私の過去
美怜ちゃんが両手で頭を覆う様な、耳を塞ぐ様な仕草をして、吐き捨てるように言った。

「知花が…知花がっ、泣いて訴えても…無理矢理っ」

「わかった。もう、いいっ。」

聞きたくない。
これ以上は、聞きたくない…。
美怜ちゃんからも嗚咽が漏れた。

「知花に…別れろと言ったのは、私、なんです…」

美怜ちゃんはしゃくりあげながら話続けた。

「私が…別れろって言ったからっ、知花は…知花がっ、あんな事に…」

あぁ、美怜ちゃんもずっと苦しんでいたんだ。
背負う必要のない責任を感じながら、ずっと知花ちゃんを守って来たんだな。

「あの男の性格は分かってたはずなのに…私が…逆上させて…」

「それは、違う。美怜ちゃんは全く悪くない。」

突然の俺の言葉に、美怜ちゃんが顔を上げた。

「美怜ちゃんも知花ちゃんも全く悪くない。話を聞く限り、早かれ遅かれその男と別れることにはなってたと思うよ。だからといって、性的暴力に出るのはまた違う話。」

美怜ちゃんに話しかけていると言うよりは、自分に言い聞かせているようだった。
頭が冷静になってきてから、怒りで思考が埋め尽くされそうだ。

「弱い立場の人間を、卑劣な方法で力で捩じ伏せて、さらには法まで犯した奴が悪いに決まってる。」

気が付けば、自分の両手が怒りで震えていた。

「一ノ瀬さん…こんな話を、聞かせてしまって、申し訳ありませんでした。」

「いや、…話してくれてありがとう。」

知らないままのが良かったのではないかと思うような内容ではあったが、知らないままでは知花ちゃんを守れないということだろう。
美怜ちゃんが一人で守っているのも限界だったはずだ。
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