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この出会いは…
第3章 私の過去
「知花は…ようやく仕事以外で"怖くない男の人"が出来たんです。私の予想ですが、おそらく一ノ瀬さんには心を開きかけていると思います。」

俺は…怖くない男って事、か?

「い…や、俺は、優しくするなと言われたよ。」

「それは…戸惑っているんだと思います。一ノ瀬さんにではなくて、"男の人に頼る事"に。」

そうか…。
"慣れてない"って言っていたもんな。

「星さんや滝本さんも怖くはないようですが、一ノ瀬さんはまた別でしょうね。」

「別…?」

「はい。電車で一緒に帰った時、知花が一ノ瀬さんにすがり付いているのを見て、そう思いました。」

あぁ、あの時か。
しかし、"別"ってどういう…

「一ノ瀬さんは"触れても怖くない男の人"です!」

さっきまでの美怜ちゃんが嘘のように、にっこり笑ってそう言われた。

「知花が、私以外の人に『助けて』と言ったのを、あの日以来初めて聞きました。」

『しかも、それが男の人だなんて!』と嬉しそうに続けた。

「だから、一ノ瀬さんには知っておいて欲しいと思いました。知花の中で何かが変わり始めているようで、私は嬉しいんです。」

「…そっか。うん、ありがとう。」

「ただ、過去が…今日みたいに、まだ知花を苦しめるんです。」

「些細な事でフラッシュバックしてしまう?」

「はい。そして、発作が起きてしまうんです…」

「発作…。」

今日も過呼吸で苦しんでいた。
どんなに忘れようと記憶の片隅に閉じ込めておいても、甦って苦しめられている。
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