この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater8.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
自己負担。
第2章 距離の差
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
「葉月……帰る?」
「え…!?」
先輩はそういうと無理やり私の手首を掴んで強引に歩き出した。
「先輩離して下さい!痛い…」
「…わり…」
ぱっと離された私の手首には先輩の手形がちょっと残っていた。
「葉月…もしかして妬いてる?夢乃に」
え…?
確かに昨日先輩に「アイツと帰る」って言われたとき
胸がくるしくて、また一人で泣いて。
嫉妬…してた。
だけど
今はそれよりも神村君に私の頭は占領されている。
「葉月……なに考えてる?
なんで俺の目見てくれないの」
「それは…」
ちらっと先輩の目を見ると捨てられた子犬のような
寂しさと恐怖が混じった目をしていた。
「もしかして、そのストラップくれた人のこと考えてる?」
先輩が指したのは
神村くんがお土産に買ってきてくれたうさぎの鈴。
「なんでそんなこと……」
"葉月、いつも泣いてて目赤いし似てると思ったから"
そう言っていつもは絶対みせないような笑顔を一瞬だけみせてくれたのを思い出した。
「葉月、お前は俺のことどう思ってる?
ニ人同時に付き合うなんていう俺のわがままに巻き込まれて
もう解放して欲しいとか?」
「そっそれは…」
はっきり否定できないのは、日に日 に増えてく心の傷がなかなか癒えてくれないから。
"辛いなら無理に一緒にいる必要なんかない"
そんなこと、わかってたはずなのに…
.
![](/image/skin/separater8.gif)
![](/image/skin/separater8.gif)