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自己負担。
第9章 逃げられない思い
思わず目を逸らしたが、周りの目線も気になり、教室のドアの前にいる先輩の元に向かう。
「葉月、体調どう?」
「うん…だいぶ良くなりました」
「そっか。返信ないから心配した。
葉月あの後黙って帰っちゃったし。」
そうだ、先輩に抱かれたあと黙って家を出たんだった。気不味い。
「…すみません…」
「いいんだけどさ!
今日部活終わるまで待ってて。一緒に帰ろう」
「えっ……いや、今日は…」
先輩が、付き合ってた頃と同じように会いに来るから、戸惑う。
正直まだ自分がどうしたいのかわからないから、
このまま一緒にいると流されてしまう気がする。
「…彼、迎えにこないでしょ?
ならいいよね?」
「………はい、わかりました」
現実を突きつけられて、もう逃げ場はなかった。
このまま先輩に流されていいの?
本当の自分の気持ちに気づくまで、
放っておいてほしいのに。
弱みに付け込むっていうのはこういうことだったのか。
黙って自分の席に戻ると、優華の視線が痛かった。
それでも優華は何かを察したように立ち上がり、
私に何も言わずに自分の席に戻っていった。
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