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自己負担。
第10章 明かされる真実
「…また、付き合い始めたの…」
「そっか。」
今日、アキ一回も笑ってない。
もう私には笑ってもくれないのかな?
そう考えるとなんだか悲しくなってきて、
私は自分の家の方向に足を向けた。
「待って。」
アキが目の前に立ち、私が帰ろうとするのを遮る。
2人の間に流れるぎこちない雰囲気が少し重い。
その原因は沈黙と、アキが私の手を握ったまま、離してくれないこと。
「送ってくよ。」
アキはそう言うと無言で私の手を引いて歩き出した。
「アキ、夢乃先輩は?」
「今日は葉月と帰るから」
「あっ……そうなんだ」
アキの考えていることがわからない。
もしかして、こんな時間に来てくれたのは私と帰るためなのかな?
そんな風に期待してしまうのは罪なんだろうか。
繋がれた手を見つめて、
手から伝わるアキの熱によってトクントクンと心臓が高鳴るのがわかる。
久しぶりのアキの手。
先輩と違って大きくてあったかい。
手を握っているというより掴まれている感じだったけど、それでもアキの体温や温もりを感じるには十分だった。
アキ。
アキ。
アキのことで頭がいっぱいになる。
もしアキが夢乃先輩が好きでも、
私のことをなんとも思っていなくても、
一緒にいられたら幸せっていうのはこういう事なのかな?
先輩が体の繋がりだけでも私と一緒にいたいという気持ちがなんとなくわかった気がした。
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