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自己負担。
第10章 明かされる真実
アキは私の手を引いて黙って歩く。
どこに向かっているんだろう。
私の家の方向ではないのは明らかで、
もしかしてアキの家?なんて期待してしまっている自分がいる。
「葉月…」
「…なに?」
アキがあまりに真剣な顔で聞いてくるから、
なんとなく後ずさる。
「なんで夢乃が泣いてたのか知ってる?」
「…わからない。」
私がそう答えると、また黙り込んでしまった。
なんでアキがわざわざそんなことを聞くのかわからない。
夢乃先輩は別れてもまだ先輩のことが好きなのかな?
そうだ、小さい頃から十何年も好きでいたんだから、そばにアキがいてもすぐに忘れるなんてことできないはずだ。
「夢乃はさ……ああ見えて弱いから、
誰かがそばにいてやらないと…」
やっぱりそうだ。
先輩と別れるのは、夢乃先輩にとっても相当辛いものだったのだろう。
自分がそうだったんだから。
どうして先輩はこうもたくさんの人間を傷つけるのだろう。
どちらにも期待させて、
どちらも傷つけて。
でも私だって離れたりまた付き合ったり、
たくさんの人も自分も傷つけてきた。
だから1人になろうと思ったのに…
目の前に好きな人が現れてしまったら、
振り払えないし、すがりたくなる。
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