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戦国ラブドール
第5章 壊れたドール
 
 大海が瞼を伏せれば、吉継より早く佐吉が口を開く。だがそれは慰めの温かな言葉ではなく、苛立ちが滲む厳しいものだった。

「――そうやって、可哀想な自分に浸っていれば楽でいいな」

「……っ」

「自己嫌悪していれば、謝罪した気になれてさぞ気持ちいいだろうな。だが、被害者から見ればお前の態度は最悪だ。加害者が弱った振りをしていれば、やり場のない怒りをぶつける事も出来ないんだから」

 佐吉の言葉は、大海の心臓にぐさりと刺さる。だが酷いと文句を言う資格はない。言葉が厳しくとも、それは紛れもない事実なのだから。

「お前がするべき事は、己の弱さを嘆いて逃げる事か? 間違っていたと思うなら、同じ轍を踏まないよう反省し改善するべきだ。そして何より、迷惑を掛けた相手に頭を下げるべきだろう」

「そんなの……言われなくても分かってるよ! でも、どうすりゃいいんだよ。改善したくたって、出来ない事だってあるだろ! 小夜を自由にするには、秀吉を殺すしかないじゃないか!」

「なぜそう極端な発想しか出来ないんだ! お前の頭は何のためにある、せっかく聡い頭を持つなら、よく考えろ!」
 
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