この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第5章 壊れたドール
外は既に真っ暗で、女を引き入れるにはちょうどいい頃合いである。吉継が何を危惧しているのか悟ると、大海の頬に朱が走った。
「佐吉、せっかくだから彼女を部屋まで送ってあげて。ついでに、その後行長を呼んできてくれないかな」
吉継が手を離せば、佐吉は吉継の胸倉を掴んで睨みつける。
「お前、さっきから勝手な事ばかり……いい加減にしないと、怒るぞ!」
「もう怒ってるじゃない。怒ったならその勢いで、ちょっとくらい動いてきなよ。虎之助が、彼女を好きにしてもいいの?」
「そんな事、俺が知るか! ……だが、虎之助が調子に乗るのは不愉快だ。その話、乗ってやらない事もない」
「じゃ、よろしく。じゃあ大海、またね」
佐吉は大海から荷物を奪い、吉継に投げて渡す。そして大海の手首を掴むと、引っ張って歩き出した。
佐吉の足取りは早く、大海は転びそうになりながら後をついていく。特に会話もなく気まずい時間は、あっという間に過ぎていった。
侍女達の屋敷の前に着けば、佐吉は手を離し大海を突き飛ばす。
「痛っ……もう、少しは気を遣えないのかい、あんたは!」