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戦国ラブドール
第6章 讒言
 






 自分には何でも分かる、などと言い切るのは傲慢極まりないが、吉継は口を出さずにはいられなかった。少女に残る束縛の痕が、心をも縛り付けて弱らせているように見えたのだ。そしてその痕に、吉継は嫌な予感を覚えていた。

「行長、佐吉は?」

 抱いた疑問に行長を呼べば、佐吉が戻る様子がない。佐吉に限って大海へ無体を働くとは思えないが、念のために訊ねる。

「なんか、用があるとか言ってましたよ。佐吉さんもいないと都合が悪いんですか?」

「いや、いない方がいいかも。いたら話があちこちに逸れそうだし」

「そんなら構いませんが……わざわざこんな時間に、なんの用ですか?」

「君なら何か、情報を掴んでいると思って。大海の事、なんだけど」

 吉継は大海が手首に痣を作っていた事、小夜を守れない自分が許せないと悩んでいた事、包み隠さず話す。そして、抱いた疑問も。

「問題は、なぜ彼女が『妹を傷付けた』かだ。怖さで保身に走った、これは分かる。でもそれが、どうして妹と繋がる? 怖い事とは何だ? って考えると、嫌な気がするんだけど」
 
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