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戦国ラブドール
第6章 讒言
「いや、意味はあった。お前の存在が、子飼いの仲を乱す原因になるってな」
「あたしが……?」
「ああ。お前、いい女だからな」
突然放たれた飾り気のない褒め言葉に、大海は頬が熱くなる。高虎は色気のある笑みを浮かべ、大海の赤い髪を手で梳いた。
「子飼いの若造共が、仲良くお前を使う事なんか出来るはずがない。独り占めしたくなって、必ず諍いを起こす。結果、妖婦と同じように風紀は乱れるだろうな。佐吉もそれを見越して讒言したんだろう」
「じゃあ、あたし達を城から追い出して――」
「いや、悪いのはお前じゃないんだから、追放は道理に反する。お前達の処遇については、秀長様にお伺いを立てるつもりだ」
「はあ……結局上に任せるなら、本当になんのためにあたしは……」
大海は溜め息を漏らし肩を落とすが、すぐに次の手を思いつく。顔を上げ高虎の手を取ると、真っ直ぐに見つめた。
「秀長様のところに、あたしも連れてってくれないかい? あたしだって当事者なんだ、陳情する権利はあるだろ」
秀長は、この城で秀吉に次ぐ権力者である。直接話が出来れば何か打破できるかもしれないのだ。この機を逃す訳にはいかなかった。