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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業
「ねぇ、お姉ちゃん。わたし、話がよく分からないんだけど……城から出られるかもしれないの?」
「あ、ああ。子飼いの奴らが仲良く出来なきゃ、下げ渡された意味がないから二人を帰すって。半兵衛殿の口添えのおかげだよ」
「……そっか」
小夜は吉報にも関わらず肩を落とし、口を閉ざしてしまう。乗り気ではない反応に、大海は眉を下げた。
「小夜は……ここに残りたいのかい?」
「え? あ、ううん、違うの。わたしだって、秀吉様の相手をするのは嫌だよ。でも、半兵衛さんとお別れになるのは、寂しいなって。お姉ちゃんは、寂しくないの?」
小夜に問われると、今度は大海が返事に詰まる。拐かされてから、ずっと孤独に過ごした訳ではない。だが城からどうやって出るかに頭を回しすぎて、友と呼べるほど親しい存在も大海にはなかった。
「あ……ごめんねお姉ちゃん、気にしないで。とにかく明後日になってみなければ、分からないもの。あんまり期待して、がっかりしたら疲れちゃうし」
小夜は固まってしまった大海を見て、慌てて取り繕う。そして何事もなかったかのように振る舞うが、大海の心には、ぽつりと湧いた疑問が残った。