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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業
孫六は手を振り払い、そのまま外へ出ていく。佐吉はすぐに後を追うが、孫六の前に立っていた事の元凶――大海に気付くと足を止めた。
「あ、今取り込み中だったかい? 出直そうか」
大海は孫六に用があるらしく、佐吉を見つけると孫六に訊ねる。
「既に話は済んでいる。用向きはなんだ」
「あ、そんなかしこまった用じゃないんだけど……」
大海はそこで、また佐吉に目を向ける。邪魔だと言わんばかりの態度に、佐吉は足音荒く厩を出た。
「ふん、結局お前も妖婦に取り込まれていたのか。どいつもこいつも己の欲ばかりで、秀吉様のため精進する気もないとは情けない」
悪態を吐きながら場を立ち去る佐吉に、大海は気まずそうな顔を浮かべる。だが孫六が大海を見上げ待てば、話をしない訳にもいかなかった。
「あの……この前なんだけどさ。助けてもらったのに、ちゃんとお礼してなかったから、改めて言いたくて」
「別に、礼なんかいらん」
「それじゃ、あたしの気が済まないんだよ。あんたが助けてくれなきゃ、あたしは大事なものを失ってた。ありがとう、孫六」