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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業

「別に、礼を言われる覚えはない。それでもありがたいと思うなら、今後気を付ければいいだけだ」
「そっか……なんだか、あんたは随分しっかりしているね。あんたも、小夜も偉いよ。あたしより、ずっと……」
「お前の妹の事は知らぬが、私は母や弟達を背負っている。一家の長として、恥じぬ振る舞いを心掛けているつもりだ」
「ああ、あたしが見た中でも、あんたは特に立派なお侍様だよ。きっと、将来名を上げるさ」
大海が思ったままを口にすると、孫六の無愛想な顔が僅かに緩む。男と女の境目である幼い年頃の整った顔つきは、大海の庇護欲を煽った。
(なんだ、笑えば可愛いじゃないか。仏頂面してないでいつも機嫌良くしてれば、もっといいだろうに)
虎之助が孫六を可愛がる気持ちが、今の大海にはよく分かった。が、一家の長と胸を張る相手に、可愛いなどと正直に話せば気分を害するに決まっている。口には出さず心で呟き、撫でくり回したくなる手を抑えた。
「もしかして明後日には城を出るかもしれないから、どうしても礼だけは言っておきたかったんだ。これで、悔いなく動けるよ」

