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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業
 
「それで、案内ですが。やはり近江といえば、近淡海(ちかつおうみ)が一番の見所です。ここは粋に舟遊びとかどうでしょう」

 行長が提案すれば、市松が眉をしかめ虎之助が渋る。

「外も寒いのに、水の上ってのはどうなんだ? 女は体を冷やしちゃならねぇって、おねね様が前に言ってたぞ」

「半兵衛様は若者らしくしろと仰っただろ。予算だってそれほど貰ってる訳じゃない、現実的な案を出せよ」

「まったく、風流の分からない野蛮な方達と一緒だと困りますわ。大海さんなら、きっと面白い和歌を読んでくれるでしょうに」

 案を蹴られた行長は嫌味を返すが、吉継が肩を叩きそれを止めた。

「舟遊びは無理だろうけど、和歌はいいんじゃないかな。詠むのはただで出来るし、綺麗なところを巡りながら連歌会でも」

「流石吉継さんは話が分かりますなぁ。今は秋ですし、良い景色もたくさんあるでしょう」

「おい、お公家様じゃねぇんだから、んな寒い事してられっかよ。案内っつったら、まずは美味い食いもんと酒の店を巡るべきだ!」

「市松、食いもんには俺も同意だが、酒は絶対呑ませないぞ……」

 四人は火花を散らしながら、延々と話を続けていく。いつまでも纏まらない様は、和解など不可能にしか見えない。孫六は白熱する四人をちらりと覗くと、素知らぬ振りでまた寝たふりを続けた。
 
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