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戦国ラブドール
第7章 はじめての共同作業
「……お前は、城を出たいと望むのか?」
「そうだね……それが一番だと、そう思う。それが、いいんだ」
大海は、心に引っかかる棘には気付かない振りをして答える。孫六の瞳はそれを真実かどうか見抜くように大海を見つめるが、結局何も語らずその目は伏せられた。
「用が済んだなら、私は馬の世話に戻るぞ」
「あ、ああ。時間を取らせてすまなかった」
孫六は馬の世話をすると言ったが、厩ではなく城の方へと立ち去っていく。大海はそれに首を傾げるが、特に追求せず別れた。
孫六が向かったのは、市松、虎之助、そして行長と吉継が明後日に向けて打ち合わせをしている現場だった。
「おや、孫六さん。あなたは興味がないから参加はしないんじゃなかったんですか?」
「話し合いに参加する気はない。眠いから、昼寝しに来ただけだ」
「はあ? なんでわざわざ、うるさい場所まで足を運んで昼寝なんて――」
行長は眉をひそめるが、孫六は構わずに隅の壁へ寄りかかり、目を閉じる。妙な行動ではあるが、孫六とて子飼いの一人。叩き出す理由もなく、ひとまずそのまま置いておく事となった。