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戦国ラブドール
第10章 市松の暴走
秀吉が、小夜を汚した事実は変わらない。だがそんな秀吉が部下を思い、ただの侍女である大海へ頭を下げている事実も変わらない。心の内に秘めた秀吉の責任感を、大海は計り切れない。しかしこの時、胸に抱いたのは秀吉への尊敬だった。
その日の夜、大海は久々に淫夢から解放されて深い眠りについていた。だが、皆が寝静まる中、城の中を歩く者もいる。秀吉の寝所まで向かい、許可も取らずに扉を開いたのは、半兵衛だった。
「秀吉っ!」
「うおっ、なんだ、半兵衛!?」
秀吉は、道中で拾った女・さくやと床を共にし、今にもまぐわるところであった。しかし半兵衛は構わず乗り込むと、さくやの腕を掴み部屋の外へ放り出す。
「あなたは下がっていなさい。私は、秀吉に用事があるんです」
「し、しかし……」
城へ来て間もないさくやは、半兵衛の顔を知らない。暴挙が許される立場の人間だとは思わずに食い下がる。だが半兵衛が一にらみすれば、肩を竦めた。
「半兵衛、そう脅かすな。仕方ない、さくや。今日は戻れ、明日また相手を頼むぞ」
「は、はい……」