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戦国ラブドール
第11章 苛立ちの半兵衛
 






 久々に淫夢から解放され、爽やかな目覚めを迎えた大海。その日は髪が短くなったせいか頭も軽く、足取りも軽やかだった。そこへ水を差すよう現れたのは、行長。行長は大海の肩を掴むと、青ざめた。

「大海さん、髪を切ったって……ああ、なんてもったいない! 切った髪はどうしたんです!? 売れば金になるでしょうに」

「顔を合わせて一番に、金の心配なんてやめとくれよ。髪は……どこかに飛んでったから、もうないよ」

「切るなら私に相談してくださいよ! そしたら、絶対止めましたのに」

「悪いけど、止めても無駄だったよ。これはあたしのけじめなんだ、ほっといてくれ」

「いいえ、放ってなどおけません! あなたは子飼い達皆の可愛いお人形さんなんですから、いつまでも美しくいてもらわなければ」

「……そこまではっきり慰み者だと言われると、いっそ清々しいね」

 以前なら、人形扱いされればはらわたが煮えくり返っていただろう。だが新しい道を見つけると決めた今、もう自分の立場など些事でしかなかった。他人がどう思い接しようが、思うまま生きればいいのだ。秀吉も、それを許してくれたのだから。
 
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