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戦国ラブドール
第11章 苛立ちの半兵衛
「大海さん……なんか、雰囲気変わりました? いや、髪を切ったんですから変わるのは当たり前ですが、なんというか……」
心の変化は顔にも変化をもたらすのか、行長はじろじろと大海を覗く。だが大海は廊下を歩く吉継を見つけると、手を振り声を掛けた。
「吉継!」
だが吉継は、大海の方を見もせず素通りしていく。その表情は苛立っていて、誰も寄せ付けない凄みがあった。
「ああ、あれはまた、面会を拒まれたようで。吉継さんも不憫ですなぁ」
「面会? あいつがあんな怖い顔してるなんて、珍しいね」
「ええ、実は昨晩、竹中半兵衛様が倒れたんです。といっても、大事には至ってませんからご安心を。吉継さんは半兵衛様を敬愛していますから、見舞いに行ったんでしょう」
「で、それを拒まれたのかい?」
「私は事情をよく知りませんが、半兵衛様はここ一年くらい、吉継さんを避けているんですよ。それまでは仲が良く、一晩二人で囲碁を打っているくらいだったのに」
それだけ慕う相手に、にべもなく追い返されては苛立ちもするだろう。だが大海は、二人の確執にはあまり納得がいかなかった。