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戦国ラブドール
第11章 苛立ちの半兵衛
大海が事情を説明すれば、小夜は素直に頷く。だが大事には至らなかったとはいえ心配なようで、顔を曇らせた。
「そんなに倒れるようなら、ゆっくり休ませてあげればいいのに……本当に、秀吉様って酷い人だわ」
「そういえば……小夜、あんた秀吉の奴に声を掛けられたりしたかい? また、嫌な目に遭ってるんじゃ……」
「ううん、わたし秀吉様とは会ってないよ。今はあの人――さくやさん、だっけ? あの人に熱を上げてるから、他の子は大丈夫だろうって」
「まったく、あいつの女好きは病気だね。あれで跡継ぎがいないなんて、不思議なものだけど」
秀吉の世継ぎ問題など、大海にとってはそれこそ関係のない話である。それでも次々女を呼ぶ秀吉を見ていると、疑問に思わずにはいられなかった。
「それにしても、半兵衛殿ってそんなに病弱な人だったのかい――」
するとその時、二人の部屋の襖が何の声掛けもなく開く。驚いた二人が見れば、そこには棘のある花のような男――佐吉が立っていた。
「佐吉……? 突然、どうしたんだい」
「ちょっと、来い」
佐吉は大海の腕を掴むと、外へ引っ張り出そうとする。