この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第13章 欲というもの
「し、仕方ないだろ、こんな遠くまで来たの初めてなんだよ」
「町中でそれですから、うちを見たら仰天しそうですねえ。面白い反応、期待していますよ」
からかう行長に大海は機嫌を損ねるが、それもしばらく歩いた後、行長の実家――小西邸を見た瞬間に吹き飛ぶ。
「なに、あれ……」
一段と目立つのは、屋根の上に飾られた十字の飾り。遠い九州の地を治める島津家の家紋によく似ているが、小西家がそれを掲げる理由はない。思わず口を開いたまま凝視していると、行長の笑い声と虎之助の溜め息が同時に耳へ入った。
「あの十字は耶蘇教の象徴で、デウスが磔にされたものを意味しています。人のため死んだデウスの心を学びなさいとね」
「磔? デウスって、つまり南蛮の仏様だろ? なんで仏様が磔にされるんだい?」
「お、興味あります? よければ、こんなところで立ち話ではなく、宣教師と話してみますか? うちは宣教師に色々提供していますから、すぐにでも取り付けられますが――」
だが大海が答えるより先に、虎之助が割って入る。
「今回は羽柴の使いで来たんだ、無駄な時間を掛ける暇はない。早く行くぞ」