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戦国ラブドール
第13章 欲というもの
「鍛冶屋ねぇ……目の付け所が、あんたらしいね」
虎之助は言われて初めて、鍛冶屋が女相手に勧める観光地でない事に気付く。だが大海は気分を害した様子ではなく、感慨深く頷いた。
「あたしには鉄砲も刃物もあまり縁はないけどさ、ここの人があたし達を守る力を生み出しているんだね。そう考えると、なんだか気が引き締まるよ」
「そ、そうか。実は、俺の死んだ親父も鍛冶屋でな。それで、つい鍛冶屋に目がいくんだよ」
「あんた、父親がいないのかい?」
「ん、話してなかったか?」
「ああ……じゃあ、あんたが孫六に構うのって、もしかして……」
「まあ、似たような身の上、ってのもあるな。けどな、孫はおねね様のつてがあった俺達家族と違って、本当に行くあてがなかったんだよ。そんな中一人で家族のため稼いでるんだから、助けてやりたくなるだろ」
つい拳を握って語ってしまうが、場にそぐわず空気がしんみりとしてしまう。
「すまない、こんな時にするような話じゃなかったな」
「いや、話してくれて嬉しいよ。あたしも、長浜の仲間だって認めてくれるからこその身の上話だろ?」