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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
「――それで、案の定のぼせたと」
真っ赤な顔で横たわる行長を扇子で扇ぎながら、大海は呆れた目を向ける。我慢比べに勝ったのは行長だが、その代償は大きかったようだ。
「ああもう、せっかくあんな事やこんな事をしてやろうと思ってましたのに……これだから虎之助さんは嫌いなんですわ」
「勝負を持ち掛けたのは自分だろ? 虎之助に当たるんじゃないよ」
「大体、虎之助さんなんて連れてくる気はなかったんですよ。それが無理矢理付いてきたんですから、鬱陶しい事この上ない」
「無理矢理? なんでまた、そんな仲の悪い奴に付いてきた――」
言いかけて、大海はふと思う。虎之助が好んで行長と行動するはずがない。となれば、大海がいるから来たのではないかと。
「……大海さん?」
「いや……なんだかあたし、最近少し自信過剰な気がする」
あまりに勝手な想像だと、大海は自分を恥じて扇子で顔を隠してしまう。事実はその通りなのだが、大海はまだ確信出来るほど恋に聡くはなかった。
「大海さん、手を止めないで。まだ頬が熱いんですよ、扇いでください」