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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
「あのさ、今さらなんだけど、本当にあたしが教えてもらっていいのかい? つまりそれって、あんたの兵法をそのまま教えてもらうって事なんじゃ」
「ん? 君は僕を裏切って、敵に情報を流す予定でもあるの?」
「まさか、そんな事するもんか! あたしはここで生きていくって決めたんだ、ここの人間を裏切るような真似はしないよ」
「じゃあ問題ない。それに、女は男が戦に出てる時、城を守る義務がある。いざという時に備えて、兵法を学ぶのは重要だよ」
「でもそういう指揮は、奥方様の仕事だろ? おねね様がいれば、他の人間が指図する必要なんてないんじゃないかい?」
秀吉が城を空けている間、城を管理するのは奥方のねねである。志麻が優れた人間の行いとして、説教の際には彼女の話を必ず持ち出すため、大海も賢妻だと聞き及んでいた。
「将来僕が城持ち大名になったら、大海が指揮しなきゃいけないんだよ? 他人任せにしちゃ駄目」
「あたしが指揮……?」
聞き返しそうになってから、大海は意図に気付く。からかうような笑みをした吉継を睨むと、大海は唇を尖らせた。