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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
 
「またそうやって人をからかって。意地悪いんだから」

「好きな子に意地悪したくなるのは、男の性だからしょうがないでしょ」

「っ、減らず口!」

「そんな悪口言うと、教えるのやめちゃうよ?」

「……ごめんなさい」

「素直でよろしい」

 結局吉継の口には敵わず、大海が折れる羽目になってしまう。吉継は不満げな大海に笑いをこらえ、肩を震わせた。

「それで、囲碁の心得の続きは?」

「ああ、うん。具体的に言えば――」

 からかいはしても、一度指導が始まれば吉継は真面目に教えていく。そしてしばらく話を聞いていると、家に一人の来訪者が現れた。

「吉継、いるのは分かっているぞ」

 高圧的な態度で、断りもなく上がってきたのは佐吉。部屋へ入り大海の姿を見つけると、花の棘のような鋭い目で睨みつけた。

「全く、人が声を掛ける間もなく遊び歩くとは、いい身分だな」

「佐吉、人の家に勝手に上がり込んで開口一番文句とか、辛気くさいよ。なに、大海に用事でもあったの?」

「い、いや、特に用事はない、が……」

「じゃあ彼女がどこに行こうが勝手じゃない」
 
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