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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
吉継の説明に、佐吉はさらに激昂し声を荒げる。
「だ、誰が寂しいだ! 寂しくも妬いてもいないっ!! 適当な嘘を教えるな!!」
だが怒れば怒るほど、それは図星に見えてしまう。大海はしおらしくうなだれると、佐吉の方へ向き直り改めて頭を下げた。
「佐吉、なんだか、申し訳ない事したね。別に、差を付けた訳じゃないんだ。吉継に囲碁を教えてもらう約束をしたから、それで……あんたがそんなにあたしを大事な友達だと思ってたなんて、考えてなかったし」
「友達!? 思い上がるな、お前のような平民の女、友だなんて微塵も思った事はない!」
佐吉がつい辛辣な一言を吐き出せば、吉継が余計な擁護を囁く。大海と違い佐吉の真意を知ってからかうのだから、吉継は質が悪かった。
「佐吉、せっかく出来た友達に、そんな事言うもんじゃないよ。ああ、思い出すなぁ、僕も昔は友達じゃないとか近寄るなとか、しょっちゅう言われてたっけ」
「お前はもう喋るな、ややこしい!」
「はいはい、じゃあ黙ってる」
吉継が口を閉じれば、妙な沈黙が辺りを包む。何かを話そうとしても言い出せない空気に、佐吉はますます渋い顔をした。