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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
吉継の指摘に佐吉はたじろぐが、それを誤魔化すように怒鳴る。
「勝手なのはそっちだろう! 遠出をして帰ってきた日は、明日からの日常に備え体を休めるべきだ。それを人が顔を出す間もなく飛び出すなど、弛んでいる!」
「あのさ大海、帰ってきてから、そんなすぐに僕のところに飛んできたの?」
吉継は片耳を塞ぎ佐吉の説教を聞き流すと、大海に訊ねた。
「いや、まずは志麻さんに帰ってきた報告をして、それから小夜に顔を出して、それからだよ」
大海としては佐吉が言うように飛び出してきたつもりはないのだが、吉継も黙り込んでしまう。
「……なに、その沈黙」
「いや、だってさ……そりゃ佐吉が怒る訳だよ」
「え? あたしが悪いのかい!?」
「そりゃもう、罪深いね。会いたくて探し回ってた相手が、他の男の所に直行してたとなれば妬いちゃうよ」
「だから、直行じゃないよ。志麻さんと小夜の所に行ってからだって」
「それは職場と家族なんだから、全くの別枠でしょ? 君にとって僕と佐吉は、同じ友達。それで僕の方を優先させたから、寂しくて当たったんだよ」